イタリアでの家事事情
イタリアでは昔から一般家庭でお手伝いさんに家事を頼むのが一般的です。
頻度は家庭それぞれで、週に1回お願いする、というのが通常ですが、小さいお子さんのいて、管理の大変な広い家に住む家庭などでは、週に5日来てもらう人も珍しくありません。
イタリアの住環境
イタリアでは人の家に入る敷居が日本よりも低く、しょっちゅう家に人が来ます。近所の人、通りすがりの友人、お客さん…などなど、しょっちゅう家に人が出入りするため、家の中はピカピカにしておかなくてはなりません。
基本家の中の空間には『見せたいものしか置かない』というフィロソフィーなので、すべてものは収納にしまい、見せたいものしか外に出ていない、というのが基本です。
台所もしっかり片付いているのが基本
なので、結構家をつねにピカピカにしておくには手間がかかり、家事は一人で全部やるのは難しい、という一般認識になっています。
東ヨーロッパ人のお手伝いさん
お手伝いさんはイタリア人もいますが、現在ではその多くが東ヨーロッパ、とりわけウクライナとモルダヴィアからの移民によって担われています。
イタリアでは清掃がとても重視されていて、しかし、日本のように自分で清掃するのが美徳であるとされていないため、清掃の仕事は沢山あります。
(ちなみに、日本での徳の涵養としての清掃作業は企業マネージメントの分野で注目されていて、それに関する企業セミナーなどもイタリアでは行われているようです。)
東ヨーロッパ人のお手伝いさんたちは、昼間は工場や事務所の清掃を、清掃委託会社の社員としてこなし、空き時間にアルバイトとして一般家庭のお掃除の仕事もする、というのが一般的です。
また、高齢化が進むイタリアの在宅介護の担い手として、東ヨーロッパの世話人はその優秀さと価格面でも競争力があり、引っ張りだこ。
不景気でも失業知らずの業界と言われています。
私も週に一度お手伝いさんに来てもらっていますが、さすがプロだけあって、その家事能力、速さと質には目をみはるものがあります。
2時間でベッドリネンの交換から家中の掃除、窓拭き、ゴミ出し、アイロンがけまで全部してくれ、家の中はリセットされてホテルの中のよう(大げさ)。
お手伝いさんに来てもらう以前は、私も家事が完璧でなく、いつも何だか散らかってすっきりしない状態でいましたが、お手伝いさんが週一でも完璧にしてくださることにより、いつもきちんと家が整っている状態にしておくことが出来ます。
隅に溜まっているほこりや細かい汚れもホテルの掃除のように完璧にこなしてくださるので、素人が自分で適当にこなすのでは到達できない清掃クオリティーを実現してくれるのです。
出来ない仕事は外注に依頼
私も数年前まではなんでも自分でしようとして、とりわけ家の掃除を人に頼むなど、恥を晒すようで、とんでもない、と思っていました。
しかしイタリアでは一人暮らしの学生でさえお手伝いさんに家事に来てもらうことも普通にあり(何と贅沢な!)、ある時から、出来ない作業は出来ないと認めて、プロに頼むことにしました。
そして出費を上回る効果が得られることに気づかざるを得ませんでした。
イタリア人は家をピカピカにしておくことをとても重要視していて、学生だろうが専業主婦だろうが、お金を払ってでも外注さんにピカピカにしてもらうことを厭いません。
確かに一度試してみると、時間も節約になるばかりでなく、自分では到達できなかったクオリティーに達することが出来、新しい世界が開けるのも、積極的に外注に依頼するメリットです。